潤子ちゃんたち4人と、はなぴょんを乗せたタイムマシン「ちゃがま号」は
時間のうねりの中を、さいしょはヨチヨチと、しだいにスピードを上げながら
さかのぼり始めます。
 
「さいしょは、どの時代へ行くぴょん?」
 
「ワシ、太平洋戦争の終結直前に行って、戦艦『紀伊型』が実在したという
伝説を確かめたい!旅順秘密ドックで竣功したといわれる『紀伊』、『尾張』
は、本当に存在したのか?存在したなら、その後どうなったんぢゃ?」
 
「わかったぴょん。1945年8月の旅順沖!さあ、そろそろ着くぴょん♪」
 
 
旅順沖の眩しい波間を、5人は眼を凝らして船影を探します。
 
「あ!ぽぽりん、アレ、あんなところに戦艦ヤマト!」
 
お~お~お!潤子ちゃん、あれはヤマトと違う。あれが『紀伊』なんか?」
 
ちゃがま号は、戦艦に気づかれないよう、そっと接近していきます。
 
「主砲は3連装5基、15門ぢゃ。紀伊型なら51センチ砲ぢゃろう。対空火力は
12.7センチ高角砲がやたら多いが、もっと新式の砲はなかったんか?
電波兵器はかなり強化されちょるのう・・・でも数は多いが21号電探ばかり
ぢゃ。反応が折れ線グラフで表示されるやつばかりで、効果あるんかのう」
 
「カタパルトや航空機用クレーンがついてないみたいだね。搭載する飛行機が
ないのかな?固有の艦載機を持たない設計なのかも知れないけど」
 
 
 
 
 
 
「やどらんさん、戦艦から発信したらしい暗号電を傍受したわ。解読してみる?」
 
「たのむよ、ランちゃん。なんて言ってるのかな?」
 
『・・・・・・軍艦尾張ヨリ聯合艦隊司令部へ、我燃料、弾薬ナシ。航空機ナシ。
地上ノソ連軍ノ鹵獲ヲ避ケルベク、1800時ヲモチ自沈セントス。万歳』
 
「おお・・・やはりこれが! そうか、連合軍は旅順の地上基地にもすでに
せまっちょるんか。最期を見るのはあまりに忍びないけえ、敬礼を送って
そっと立ち去ろう。」
 
 
 
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