「イヤイヤ、これはエンジェルの意志じゃなくて、ボクらみんなのネガイなんだヨ」
 
とつぜん突撃砲の電子ペリスコープに、エンジェルに合体された人々の姿が
映し出され、やどらんがニコヤカに語りかけてきました。
 
 
「みぃなさんたちはマダ直接つながってないから、画像が乱れ気味でゴメンね。
ここ、エンジェルの心の中は、ものすごくタクサンのココロを受け入れて、こん
なにも美しく輝きだしているよ!
 
思えば生きる上でのいろんな苦しみ、老いる事、病む事、死ぬ事、他の人との
イサカイとか欲しいものが手に入らないとか、そういうモノは全て、人や動物の
壊れやすい、弱いカラダに原因があるんじゃないかな?
 
ボクたちはエンジェルと合体して、宇宙植物の半永久的なカラダを手に入れた。
地球の植物でも、数千年生きる木があるでしょ?たぶんボクらは10億年
くらい生きられるんじゃないかなあ。
 
それに合体したミンナ、心が通じ合うっていうか、全員がわかりあえるようにな
ったのもウレシイな。人も動物も、コンチュウも魚も、山も川も、人が作った機械
にさえ、世界はタマシイと友愛に満たされている
 
ボクらは他と争ってまで養わなくてはいけないカラダを持たないゆえに、生存の
競争や、食物連鎖から開放されたワケだよ。これが進化でなくてなんだろう?
みぃなさんたちも来ないかい?妹のネコ美さんたちは、モウ来てるよ!」
 
「いいや!ソレハまちがっている!!」
 
 
諸尾博士はペリスコープの画面を見据えながら、エンジェルに聞こえるように車外
拡声器を使って強い調子で反駁しました。
 
「確かに、生きていく上でさまざまな苦しみがあるのは事実だが、一つひとつ克服
していく力が、人間にはあるんだ!弱くハカナイ命だからこそ、人はよりよく生きようと
努力するんだ。そんなヒタムキな営みの中から、初めて美しいものや、価値あるものが
生まれて来るんだ!
 
諍いや和解、競争したり妥協したり、他者とのさまざまな関係を重ねる事で、人は
学び成長していくんじゃないのか?キミたちの今の状態は、私から見るとトテモ
人間とはいえないし、生命の在り方としてもマチガッテいる
 
私は決して合体を受け入れない。キミらを、必ず元どおりに直してやるぞ!」
 
画面のやどらんは、やはりニコヤカに諸尾博士に言います。
「ウン・・・  ボクも、むかしはそういう風に考えていたから、言い返す気はないんだ。
だからこそ、ワザワザぽぽりんたちに警告して、勝負に誘ったんだよ。
 
サア、決着をつけよう!どっちが勝っても文句なしダヨ♪
 
 
 
 
 もどる       TOPへ       すすむ