イヤポポリス中央病院の廃虚の中で、オレンジ色の少女は目覚めます。
建物にこしかけて、大きく目を見開いた瞬間、青白い光が頭部を中心に
輝きだします。
 
「アレ・・・  ここは?   ワタシはいったい・・・」
 
 
(やあ、エンジェル。目がさめたかい?)
 
心の中で語りかける声があります。
 
「エンジェル? ワタシのことなの?  アナタは誰・・・」
 
(ボクはやどらん。君の心の一部。)
 
次に、別の声がやさしく語りかけてきました。
(私はこの病院の患者です。あなたのおかげで、長い病との闘いからから開放
されました。あなたの心の中は、とても穏やかな場所ですよ、エンジェルさん)
 
「心の中? ワタシの心に住んでいるの?  ・・・よくワカラナイよ!」
 
(足元を見てごらん)
ふたたび、やどらんの声がします。
 
(君の足は、地面や草や木とつながっているだろう?その先は、この街のオオゼイの
人や動物、機械とヒトツになっているんだよ。ぽぽりんたちはまだ知らないけど、
電送機を介してほかのポリスや、地球本土、月面基地ともモウほとんどヒトツに
なってしまったよ。
 
これから地球の生命は、新しい時代を迎えるんだ。
 
でも、古いバラバラの生命にもチャンスがなくちゃフェアじゃないよね。ボクとランちゃん
は、ぽぽりんたちに警告を与えた。生命の未来を賭けて、正々堂々と勝負するんだ。)
 
「生命のミライ・・・?  勝負?   アア、ワタシには何の事だか・・・」
 
まもなく彼女の視界に、カブト虫のような奇妙な物体が地を這うようにして入ってきました。
 
 
 
 
 
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