ぽぽりんたちに運ばれて、巡洋戦艦ポポリスの転送機を通って地球の首都
イヤポポリスにたどり着いたやどらんとランちゃんは、直ちにイヤポポリス中央
病院に緊急入院し、最深部の集中治療室に搬入されて行きました。
 
<イヤポポリス中央病院>
30世紀の人類の英知を結集した総合病院。
通常の医療技術はもとより、生物科学、機械
工学、原子物理学などアラユル技術を駆使して
人間の身体・精神のどんなトラブルも解決する。
(外来の往診時間   9:30〜21:00  保険取扱)
 
諸尾(もろお)博士、やどらんのぐあいはどうぢゃろうかのう・・・?」
 
ぽぽりんと潤子ちゃんが、集中治療室の窓の外で待っていると、治療に当たるDr.
諸尾と、トテモ小柄な看護婦さんが説明しに来てくれました。
 
「おお、ぽぽりん君か!残念だが、キミのともだちの容体はあまり芳しくないな。」
  オオガラな諸尾博士は身振りを交えながら、よく通る大きな声で語ります。
 
小さい看護婦さんが説明を補足します。
「宇宙植物の組織が、カンゼンにからだの細胞と一体化していますにゃ〜。その
ため体細胞が、堅い細胞膜を持った植物細胞に変化しているのにゃ。外科的な
方法で分離することはトテモむずかしいとみぃなは思うのにゃん。」
 
「どうしたらもとに戻せるの?みぃなさん。」
 
潤子ちゃんが小さい看護婦のみぃなさんにたずねると、Dr.諸尾が答えました。
「脳波を調べて精神活動が正常だったら、カラダは昔の転送機のログから再生
して、現在のココロを注入したらどうかと思う。転送機は、事故に備えて電送
内容をすべて保存しておく決まりだったな?その記録をもとに、再生側装置に
彼らを復元スルノダ!」
 
 
「転送ログの中のココロのデータを、今のやどらんたちのココロと入れ替えると
いうんか・・・  イマダカツテナイ大手術ぢゃのう」
Dr.諸尾が去ったあと、ぽぽりんはまだ窓越しにやどらんたちを見ています。
 
「だいじょうぶかなァ・・・ みぃなさんも、なんだかヘンな感じだヨ」
 
「ああ、みぃなさんはモトモトなんぢゃ。Dr.諸尾は、動物をベースに優れた
人造人間を作る世界的な権威ぢゃよ。
 
研究が完成するまでは、あまり理解されずズイブン迫害されたようぢゃが、
一旦完成してみると、博士の人造人間は元の動物の持っていた優れた嗅覚とか、
聴力、予知能力など、人間にない優れた能力を持っていたのぢゃ!
 
今では、彼ら人造人間の権利に関する法律や、動物に復帰する権利も保障
されて、人類とかなりうまくやっちょる。ワシはDr.諸尾を信頼しちょるんぢゃ。」
 
ぽぽりんも博士の人造人間なの?・・・  そう訊ねようとして、潤子ちゃんは
やはりきかないでおこうと思い直しました。ぽぽりんの実体が何であっても
これまでイッショに旅した、ナカマのぽぽりんにかわりあるはずがないもの。
 
今はDr.諸尾を信じて、やどらんとランちゃんの治療を任せるしかなさそうです。
 
 
 
 
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