ズオオオオオオオオオオオオオ・・・・・・
亜空間回廊から通常空間へ戻った小型宇宙艇がしばらく進んだころ、
それまで楽しげに微笑んでいたピーちゃんが、いつの間にか船室の
隅にうずくまって動かなくなっていました。
「ピーちゃん!」
異変に気づいたポッポ・コバト少佐が抱き上げると、
「ピ〜・・・ピ〜・・・」
弱弱しい声でピーちゃんが応えます。
「いったいどうしちゃったんだポッポ?」
今にも泣き出しそうな表情でポッポ・コバト少佐が呟きます。
「おなかすいてるんじゃないかな。私の宇宙兵糧丸、食べる?」
襟の裏側の格納筒から自分の食料を取り出そうとする星姫様に、
電子頭脳の情報を検索しながら、クリス大佐が言います。
「ピーちゃん本体の主成分は、宇宙塵や星間ガスみたいだから、
少し船外を散歩して、星間物質を浴びるといいんじゃないかな。」
すぐに、小型艇の床の中央にあるエアロックから、ポッポ・コバト
少佐がそっと船外へ導くと、ピーちゃんは嬉しげに辺りを飛翔し
始めました。
「翼をいっぱいに広げて、星間物質を吸収してるようね。」
星姫様が、ほっとして頬を緩めます。
「ピーちゃん、この船はいつ亜空間回廊へ突入するかわからないから、
おなかがいっぱいになったらすぐ船に戻るポッポ!」
暫し食事を楽しんだピーちゃんは、やがて満足そうな表情でポッポ・
コバト少佐の腕の中へ戻っていきました。
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