「あれ?」
地球から数百光年の宇宙空間を進むエンジェルは、小首を傾げながら
傍らの星の花ぴょんへ精神的通信を送ります。
 
「ほら、あの青っぽい丸いの、何もないところへ突然現れたよ!
どこかの星の宇宙船じゃないかな、、」
 
エンジェルが指差すほうを見ながら、花ぴょんも頷きます。
「エンジェルちゃんが地球を、ボクが火星を出発してもうすぐ10億年
文明の乗り物を見るのは、ものすごく久しぶりだぴょん♪」
 
エンジェルの動揺を察して、「なんぢゃ」「どうしたの」と彼女の精神世界
に同居するぽぽりん氏潤子ちゃんたちも、ざわつき始めます。
 
「あ・・・また空間転移していくみたい。」
「きっと、時間軸を間違えて転移してきたんだぴょん」
 
見る見るうちに、青い小型艇は漆黒の宇宙空間へ溶け込んでいきました。
 
 
「うわあ〜、びっくりした!!今のなに??」
亜空間回廊へ戻った小型艇では、星姫様がびっくりして口をあんぐり
開けたままです。
 
「朱色の有翼の巨人と、大きなチューリップだったよ。私の記憶回路には
データが見つからないから、物語上の別の世界線の登場人物では?」
超高速で記憶回路を照会していたクリス大佐が、なんだかメタっぽい
ことを言いだします。
 
「船の時空観測機によると、一瞬、何億年も未来へジャンプしてたみたい
だポッポ!少なくとも元の時間軸へ戻らないと、お互いの艦隊へ戻れ
なくなってしまうポッポ・・・」
 
ポッポ・コバト少佐の潜在意識が行きたがっている場所を、走馬灯のように
巡っているという推察が揺らぎだし、動揺を隠せない三人を乗せたまま、
小型艇は再び通常空間へと進み始めました。
 
 
 
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