「姫様、重力刀!重力刀を使うでござるッ!!」
伊19号の呼びかけにハッとした星姫様は、鉛のように重い右腕を襟の裏側に格納した
重力刀のスイッチへ伸ばします。
ピッ・・・
乾いた電子音とともに星姫様の身体にかかる重力が制御され、小型宇宙艇の船尾側
を下にして、ひょいと身軽に立ち上がることができました。重力刀は宇宙都市蓬莱の刀
工により鍛造された、重力を自在に操る刀で、普段は折りたたんで星姫様の襟の裏側
に格納されているのです。
「重力刀で制御できた・・・クリス大佐、加速度は重力と同じものだわ!」
「あ、そうだっけ、、」
クリス大佐も、関節に内蔵されたトランスミッションを大重力惑星用ギアに入れ、若干
ぎこちなくも船尾側の壁に立ち上がることができました。
「は、はやくテレポーテーションスイッチを・・・」
座席の背面に押しつけられもがくポッポ・コバト少佐に気づいて、星姫様とクリス大佐は
船内両側面の計器パネルを、ロッククライミングのようによじ登っていきます。
「しっかり!コバト少佐。どのボタンを押せばいい?」
「操縦桿の緑のスイッチだポッポ!距離や方向を装置に伝えるため、ピヨピヨ星人である
私が押さなくてはいけないポッポ!!」
星姫様とクリス大佐は顔を見合わせると、両側から協力してポッポ・コバト少佐の腕が
操縦桿へ届くように持ち上げました。
「ありがとうポッポ・・・テレポーテーションスイッチ、オンだポッポ!」
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