「姫様、第1フレームのテーマは、アール・ヌーヴォーでござるッ!」
手元の暗号表を確かめると、伊19号は光学着艦制動装置による制動に必要な
ポーズのテーマを、無線で星姫様へ伝えます。
「ア、、アール・ヌーヴォー!?」
座禅のポーズや、荒ぶる鷹のポーズといったテーマを予想していた星姫様は、
抽象的なテーマにびっくりしました。
「え〜と、20世紀前半ごろのモダニズム運動で、エンパイアステートビルや、
クライスラービル、みたいな直線的なデザイン・・・・だっけ?」
「姫様、それはアール・デコでござる。アール・ヌーヴォーは19世紀末の、西洋
唐草模様でござるよ!」
「アッ、、了解!!」
迫りくる第1フレームを前に、具体的なポーズを思いついた星姫様は、大急ぎで
機能停止したクリス大佐の手足を動かし、ベートーヴェン・フリーズのポーズを
とらせると、自分も同じポーズで並びました。
ズビュウウウウゥゥゥゥゥゥmmm・・・
ポーズをとった二人が通過する瞬間、第1フレームは植物をかたどった複雑な
レーザーの額縁となって、四角い平面上に満ちる無数の光の粒子が二人へ
優しくも確かな制動をかけるのでした。
「姫様、みごとでござる!まるで背景が目に浮かぶような、ベートーヴェン・
フリーズでござる。第1フレームで、およそ7パーセントの制動に成功したで
ござるよ!」
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