アルプスのトンネルをどんどん進んでいったユウ中佐うさぴー少佐は、
道路の真ん中に大きなコンクリートの建造物が聳えているのに気付いて
唖然とした表情で顔を見合わせました。
 
「うさぴー、これ何かな?」
 
「・・・・ちょっと観察してみるぴょん。」
 
建造物には階段手すりが着いていますが、路面からだいぶ高い箇所
から始まっていて、簡単には登れないようです。
 
「この窓、窓枠とガラスがコンクリート面にくっつけてあるだけのダミーだね」
 
「反対側も、階段だぴょん。登って降りるだけの設備に見えるぴょん。」
 
暫くあれこれと推理しているうち、ユウ中佐がハッとした様子で、興奮気味に
言います。
 
「わかった!赤瀬川先生の提唱する超芸術トマソンだよ!!」
 
 
「ユウちゃん、結論を急がないでほしいぴょん。」
 
うさぴー少佐は、なおも思案気にトンネルや階段の上の方を見上げます。
 
「超芸術トマソンは、長い時間の経過で一部が壊れたり改築されたりして、
階段や扉がシュールな佇まいに昇華した状態を言うんだぴょん。この建造
物は確かにシュールだけど、何か意味があってこういう形にしてる気配を
感じる気がするぴょん。」
 
うさぴー少佐に指摘されて、ユウ中佐も改めて建造物を観察しなおします。
 
「ほんとだ、トンネルの穴に向かってが立ってる!」
 
「登ってみようぴょん、ユウちゃん♪」
 
「うん♪」
 
うさぴー少佐を両手でかかえて階段に乗せると、ユウ中佐も手すりの支柱を
つかんでよじ登っていきます。
 
 
 
 
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