「門番の兵隊さん、私たち、道に迷って困ってるんです!」
ようやく城門に辿りついたアリスとうさぴーは、城門の左右にしかめ面で立っている兵士に女王陛下に
謁見できるよう頼んでみる事にしました。
「ボクらは、アリス亜空間は初めてだぴょん。女王陛下のお力で、元の世界に戻してほしいぴょん!」
左右の兵士たちは門の前でひそひそ相談を始めました。
「ねえうさぴー、すごいすごい!この人たちトランプ兵士じゃない??」
「アリス、よく見るぴょん。彼らはいろはカルタだぴょん!」
たしかに、厚紙っぽい材質の兵士たちの洋服には、和歌らしきものがローマ字で書かれている
ようです。
「よろしい、旅の方。私について参られよ。」
一方のカルタ兵がふたりを案内して、城内へと歩きだしました。
カルタ兵に案内されて、アリスとうさぴーは赤を基調とした城内の大広間を進んでいきます。
周囲には、複雑に入り組んだテラスや階段が続いています。
「おかしいわ、うさぴー。この階段、途中で切れてたり天井にぶつかったり、上の階にぜんぜん
つながってないような気がするけど・・・・」
「う〜ん、なるほど、なるほど。」
うさぴーは、大広間の周囲をぐるぐる見回しながら、しきりにうなづきます。
「きっと、日本の五重の塔方式だぴょん。実は1階建てで、二階以上はすべて飾りに違いないぴょん。」
うさぴーの推理を小耳にはさんで、はっはっはとカルタ兵が笑います。
「惜しいですぞ、旅の方。この広間の階段は侵入者防止用の飾りですが、女王陛下がいらっしゃる
最上階へは秘密の通路を使って登るのです。それに、女王陛下が退屈な時など、この部屋の階段を
上ったり降りたりして楽しまれる、重要な意味をもった設備ですぞ!」
それにしても、天井側の階段は妙な感じだと思いながら、ふたりはカルタ兵の後ろを歩いていきます。
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