トリス少尉パンドラ少尉は、お互いの顔を見つめて途方にくれてしまいました。
 
「ど、どうしよう・・・・いくら任務でも、トリスは撃てないよ」
 
両目いっぱいに涙が溢れてくるパンドラに、トリスは勤めて陽気な様子で言いました。
 
「ひとまず一緒に都市へ行こう!さあ、涙をふいて。突撃艇に載せてってあげるから」
 
「うん・・・。」
 
二人が乗った突撃艇は、トリス少尉にとっては攻撃対象、パンドラ少尉にとっては
防衛拠点である都市に向かって進み始めました。
 
 
「トリス、都市に着いたら・・・・攻撃するの?」
 
後席のパンドラが、そっと話しかけてきます。
 
「う〜ん、困ったね、、」
 
トリス少尉は、本当に困った様子でちょっと肩をすくめます。
 
「このまま二人で、遠くへ行っちゃうとか・・・・・どう?」
 
トリス少尉の問いかけに、パンドラ少尉は無言のまま前席のトリス少尉の背中にただ
ぴったりと寄り添います。
 
改造された金星の大気が、二人のほほをかすめていきます。
 
「・・・・だめ。わたしたちは補給がないと2、3日も動けないし、任務は放棄したくない。」
 
「わかったわ。もしかしたら、到着したら私たちは戦うかもしれないけど、今はこのまま
こうしていよう!」
 
そう言って、トリス少尉は少し微笑みました。
 
 
 
 
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