「ほらトリス、きれいな景色でしょう?」
 
わあ〜!ほんとね♪」
目の前の雄大な景色に、トリス少尉は思わず歓声をあげます。
 
何度目かの待ち合わせで、トリス少尉はパンドラ少尉に誘われて、金星の
観光名所にやって来たのです。
 
「金星の気候を人が住めるまでに改造するのに、人々の大変な努力があっ
たそうよ。すごいよね!」
 
パンドラ少尉は感慨深そうに目を細めながら、彼方を見渡します。
 
 
「ねえ、パンドラ。あなた、金星都市国家連合軍でしょ。」
 
トリス少尉のことばに、はっとしたようにパンドラ少尉が振り向きます。
 
「そうよ、トリス。あなたは地球軍だよね・・・」
気まずい空気がふたりを包みます。
 
「やっぱり、パンドラは知ってたのね。・・・なぜすぐに言ってくれなかったの?」
 
「黙っててごめんなさい。」
パンドラ少尉は、まっすぐなまなざしでトリス少尉にこたえます。
 
「所属する軍が敵同士でも、パンドラタイプと呼ばれていても、わたしもクリス型
の仲間だよ。戦争だって、いつまでも続くわけじゃないでしょう?」
 
「そりゃまあ、そうだけど・・・」
 
あまりにまっすぐなパンドラのまなざしに、トリス少尉もにっこりして言いました。
 
「うん、まあいっか!今日はゆっくり観光でもしよう♪」
 
 
 
 
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