トリス少尉パンドラ少尉が観光地で過ごした日から、一ヶ月が経ちました。
 
「パンドラ少尉、その後姿を見せないけど、どうしちゃったんだろう。無事だと
いいんだけど・・・・」
 
「トリス少尉、何をぼんやりしている!」
後北条指令の怒鳴り声で、トリス少尉はハッと我にかえりました。
 
「・・・以上の説明のように、アフロディテ大陸に設営した地球軍橋頭堡は順調に
勢力を拡大し、金星の南半球はほぼ制圧したのだが、マックスウェル山麓の
首都を中心に、北半球は依然金星都市国家連合が堅固な要塞を築いて守りを
固めている。戦線は赤道のやや北寄りで完全に膠着状態だ。
 
わが軍はおよそ100万の軍勢を上陸させているが、金星全体を制圧するには
あまりにも兵力不足だ。かといって増援を送るには、地球からの補給を考えると
現状でほぼ限界の兵力といえる。」
 
 
作戦会議室には100機近くに増えたクリス型アンドロイドが集合して、真剣な
表情で戦況説明を聞いています。
 
「後北条指令、私たちクリス型アンドロイドは燃料消費が大きいので、持久戦
には不向きです。電撃戦で戦線を突破して、金星都市国家連合軍の補給基地
か司令部を確保してはどうでしょうか。」
 
クリス少尉の意見に、後北条指令は少し考えてから答えました。
「地球軍司令部に相談してみよう。もしOKがでたら、大仕事だが我々がやらねば
ならない。クリス少尉を作戦参謀、トリス少尉を情報参謀に任命するから、手順を
研究しておいてくれ。」
 
「了解しました!」
クリス少尉は立ち上がり敬礼します。
 
「え、、わたしもですか?」
一瞬驚いたような表情をして、トリス少尉も敬礼しました。
 
 
 
 
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