クリス少尉・トリス少尉たち、クリス型アンドロイドが戦線に復帰する頃には戦況は
だいぶ進展して、金星本土上陸作戦が進行中でした。
クリス型の小隊は赤道付近の地球軍橋頭堡に配置され、金星都市国家連合軍の
反撃に備えて交代で橋頭堡の周辺のパトロールを続けています。
「あれ?」
いつものようにパトロール任務中のトリス少尉は、前方から接近してくるアンドロイド
らしき機影に気づいて首をかしげます。
「今日は、この戦域に私以外のクリス型が出動してたっけ?」
接近すると、そのアンドロイドは確かにクリス型固有のエンジン音やアンテナを備え、
胸のインジケーターもあり、クリス型のバリエーションのように見えました。
「マドリード工廠のロットかなあ、、クリス型って建造した工廠によって、デザインは微
妙にちがうし・・・」
「偵察、おつかれさま。」
相手のアンドロイドも、トリス少尉と同様少し怪訝そうな表情でしたが、味方と判断
したらしく声をかけてきました。
「見かけない顔ね。この戦域は初めてなの?」
「ええ。私はトリス、トリス少尉です。」
トリス少尉が自己紹介すると、相手のアンドロイドは優しい表情で答えました。
「私はパンドラ少尉。よろしくね♪」
「よろしくお願いします。長い髪もボディデザインも、すてきですね!どこの工廠で
建造されたんですか?」
握手を交わしながら、トリス少尉がたずねます。
「エクステレメータ工廠よ。あなたは?」
「アンダマン工廠です。」
ふたりは、お互いに何だか聞きなれない工廠だと思いながらも、すぐに仲良くおしゃ
べりを始めました。
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