「あ、あれが使えるんじゃないでしょうか!」
 
突然、モリス大佐は傍らの小型モニターにクリス型アンドロイドの設計資料を表示し
始めました。
 
動力系制御システム系、どれもちがいますね、、」
 
資料をめくるうち、ようやく一枚の資料を探しだしました。
 
緊急安全対策マニュアルですね。」
ユウ中佐も画面に映った資料を、見つめます。
 
 
「資料によると、クリス型アンドロイドの足の先にはロケットが装備されているようですね。」
 
「でも、この出力じゃ逆噴射して戻ってくるのは難しいんじゃないかな、、」
ユウ中佐が心配そうに言うと、モリス大佐も表情を曇らせます。
 
「そうですね。でも、進路を少しずつ変更して、大回りに折り返す事だったらできるかも
しれないでしょう?」
 
ふたりが検討しているうちに、トリス大佐の記憶を映し出すモニターの方は、美しいアンド
ロイドを映し出していました。
 
 
「パンドラタイプ1号・・・・・パンドラですね。」
モリス大佐は、見覚えがあるようすで言います。
 
「パンドラタイプ?クリス型の新型じゃないの?」
 
「パンドラタイプは、金星都市国家連合のアンドロイドシリーズです。・・・私たち
クリス型を開発した会社には、戦前から金星にも支社網があったんですが、そちら
でもクリス型の開発が進んでいたんです。で、開戦後は金星支社製の姉妹たち
パンドラタイプとして、私たちの最大のライバルになったわけです。」
 
「なるほど、、この映像は諜報部が入手したんでしょうか、、」
ユウ中佐が少し不安そうに言うと、モリス中佐はにっこりと微笑みました。
 
むかしの話です。トリス大佐の記憶映像には、これからパンドラたちとの激闘
映るかもしれないですが、戦後はパンドラシリーズも宇宙艦隊の一員に参加して
今は私たちのなかまです。いっしょにメンテナンスを受けてるうちに、外見もほとんど
同じになりましたし。」
 
「そうですか・・・・パンドラさん、本当にきれいですね。」
ユウ中佐は、資料を調べる手を少し止めて、画面に映る美しいアンドロイドに見蕩
れていました。
 
 
 
 
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