クリス准尉たちとともに出撃した後北条中尉は、編隊がちりぢりになってしまった後も
要塞攻撃を敢行して、敵の迎撃を受けながらも空母ナスカにたどり着きました。
 
航空参謀殿!わたしの飛行隊は・・・」
 
母艦に着艦するなり艦橋に飛び込んだ後北条中尉は、双眼鏡で艦尾の後方はるか
彼方を見つめている航空参謀にたずねます。
 
「後北条中尉。よく生きてもどってきたな。」
 
「わたしの飛行隊は、もう帰還しているでありますか?」
 
「ほかの飛行隊の、人間のパイロットはだいぶ帰還しているようだ。生還率は・・・・50
パーセント前後だろうか。残念だが、君のロボット隊の生還率は今のところゼロだ。」
 
それをきいて、後北条中尉はがっくりと肩を落としました。
 
 
「航空参謀殿!あれを・・・!!
 
傍らで双眼鏡をのぞいていた士官が、航空参謀と後北条中尉によびかけます。
 
一機、もどってきます!電波信号から、クリス准尉とトリス准尉の機体のようです。」
 
本当ですか!?
 
急いで窓から外を見た後北条中尉は、ふらふらと接近してきた機体を見て衝撃を受け
ました。
 
あ・・・・、あんなに撃たれて、よく母艦まで・・・」
 
なみだぐむ後北条中尉に、機体を発見した士官も感動した様子で言いました。
「本当に、すごい耐攻撃性能ですね。クリス型アンドロイドが量産化された時には宇宙
の戦いは一変するかもしれません。」
 
 
クリス准尉とトリス准尉の戦闘攻撃機といっしょに出撃したロボット隊のうち、約
2割が空母部隊の前方に展開した味方の宇宙駆逐艦に救われ、1割がV2要塞
周辺で敵の捕虜となりました。残りは全機宇宙の塵となって、戦後に回収される
まで金星軌道上に漂ったのです。
 
救命艇で母艦に収容されたクリス准尉たちは、非常に大きなダメージを受けていた
ものの、ロボット隊の中ではただ一機自力で母艦まで辿り着きました。宇宙戦艦
プラチナ撃沈の戦果とともに、クリス型アンドロイドの性能を認めた宇宙海軍は、
V2作戦終了後すぐに、クリス型の骨格・外皮等を強化した上で制式軍用アンド
ロイドとして量産化する事を決定しました。
 
 
 
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