作戦通りに空母ナスカを発艦したクリス准尉たちの艦上戦闘攻撃機隊は、編隊を組ん
V2要塞に向かって進んでいきます。
 
「V2要塞まであと50万キロ。そろそろ敵の哨戒圏にはいるわよ。」
 
クリス准尉がマイク越しに言うと、トリス准尉も緊張気味に応えます。
 
「了解。レーダーで盛んにこちらを探ってる様子だから、ミサイルの射程に入ると同時に
来そうね。」
 
トリス准尉のことばが終わるか終わらないかといったタイミングで、機上レーダーが彼ら
の編隊に向かってくる、無数の飛行物体を捕捉しました。
 
警報!ミサイル!!およそ400機、まっすぐ前方からくるわ!姉さん!!」
 
「トリス、チャフ展開。デコイ発射!」
 
ギイイーーーン
 
ガガガガガガガガ
 
 
ミサイルの炸裂で電波障害を起こしたヘッドフォンからは轟音が響き、破片が機体にぶつ
かる不気味な振動が機体を揺らします。
 
操縦桿を握るクリス准尉は、右へ左へと回避運動しながら、なおもV2要塞へと進み続け
ます。
 
「姉さん、編隊とはぐれちゃった!電波障害でレーダーも利かないよ!!」
 
「大丈夫、みんなミサイルを発射してくる方向、V2要塞にむかってるって。・・・戦闘攻撃
機は本来、戦闘機なみの運動性能があるんだけど、これだけ宇宙魚雷をかかえてると
さすがに機体が重いっていうか、、わあ!また来たよ!
 
数次におよぶ迎撃ミサイルの弾幕で、機体のあちこちに小さな傷が増えてきました。
 
「予備燃料タンク、近接戦闘用の機関砲が被弾で使用不能よ。外郭防衛線の手近な巡
視艇か砲艦を攻撃して、すぐ帰艦したほうがいいんじゃないかな、、」
 
「まだよ、トリス!まだメインモーターは動いてるし、私達自身宇宙魚雷無傷だわ。
要塞本体か、主力艦隊まで進みましょう!」
 
なおも激しさを増す対空砲火の中を、クリス准尉・トリス准尉の戦闘攻撃機は進んで行き
ます。
 
 
 
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