「諸君!我々空母ナスカ航空隊に、遂に出撃命令が下った。大部分の隊員は
初の実戦だが、これまでの訓練を生かして奮励努力してほしい。」
 
大きな戦域地図の前で、後北条中尉が隊員たちに作戦の説明を始めます。
 
「諸君も知っての通り、金星都市国家連合は金星本土と金星の公転軌道上に
建設された宇宙都市の連合体だ。各宇宙都市は軍事施設も併設しており、
現在金星公転軌道より内側の制空権は敵側が握っている。開戦以来、地球の
軌道との間の宇宙空間で小規模な戦闘が繰り返されている状況だ。」
 
大部分がアンドロイドやロボットの隊員たちは、文字通りまばたき一つせずに
地図上に示された両軍の勢力の様子を見つめています。
 
 
「そこで、この膠着状態を打開するため、ナスカ型宇宙空母4隻、ナスカアスカ
キスカアラスカを基幹とする機動部隊を編成して、敵の最大の宇宙軍事施設
であるヴィーナス2(V2)要塞を攻撃する事になった。」
 
図を見つめる隊員たちは身じろぎもしませんが、表情はいくぶん緊張した様子です。
 
「V2基地の宇宙軍港は、ヴィーナス2世型を始めとした金星都市国家連合の主力
艦隊が母港として活動している。我々の戦力は制空戦闘機220、艦上戦闘攻撃機
770機のおよそ1000機で、基地の軍港としての機能と停泊中の艦隊を撃滅する。
基地周辺は要塞化されており攻撃は困難が予想されるが、この作戦が成功すると
敵の勢力圏は残りのV3、V4基地と太陽を結んだ線まで後退し、戦局は一気にわが
軍に有利になる。諸君、存分に腕をふるってほしい。」
 
  
「わあ!ついに初陣だね、姉さん!!」
 
「そうね、トリス。アンドロイドって死なないから怖くはないけど、すっごく
ドキドキするね、、」
 
「がんばって戦果をあげたら、わたしたちクリス型が制式採用されて、
3号機以降もきっと完成できるかなあ。」
 
トリス准尉のことばに、クリス准尉も大きくうなずきます。
 
「うん。妹たちのためにも、がんばろう!ていうか、わたしは小うるさい
後北条中尉をアッと言わせるような活躍ができるといいなあ。」
 
 
 
 
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