永い永い眠りから目を覚ますように、あるいは無限の暗闇に明かりが灯るように・・・
黒髪の少女は、少し唐突に目を覚ましました。
 
「・・・・え? え〜と、、あれ??」
 
黒髪の少女は、自分の名前も今いる場所も思い出せない様子で、ぼんやりと辺りを
見回します。すると、眩しい陽射しにつつまれて、ベッドの傍で朱色の髪の美しい少
が微笑んでいるのに気づきました。
 
「ごきげんよう、トリス。気分はいかが?」
 
トリス・・・?わたしの名前、トリスだっけ、、」
 
トリスの答えに、朱色の髪の少女は可笑しそうに笑いながら、トリスの両手をとって
言いました。
 
「そう、あなたはトリス。今日生まれた私のよ。」
 
「妹・・・・ じゃあ、あなたは?お姉さんなの?」
 
「私はクリス。よろしくね!そして、わたしたちはアンドロイド。人類が、持っている科
学力の全てを注ぎ込んで生み出した、機械でできた新しい人類なのよ。」
 
 
「これがトリス大佐の一番最初の記憶・・・・」
 
ユウ中佐モリス大佐は、トリス大佐の記憶を映し出すモニターを吸い込まれるよう
に見つめています。
 
「身体のデザインが今と少し違うね、、顔や髪型も、今とほとんど同じだけど微妙に
初々しいっていうか、、」
 
ユウ中佐が言うと、モリス大佐もにっこりしてうなずきました。
 
「そうですね。最初のクリス型アンドロイド、クリス大佐とトリス大佐は、元は全身が
人工皮膚で覆われていたと伝えられているんだけど、銀色の下着普通のお洋服
を着たりしてたんですね!私も驚きました。」
 
モニターを見つめる二人には、初々しい少女時代のトリスの気持ちまで伝わってくる
ようでした。
 
 
 
 
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