「こ、これが銀色の物体ぢゃと!?」
 
アミダタワー最上階にたどり着いたぽぽりんは、基壇の上に安置された物体を見て、
思わず自分の目を疑いました。
 
「これは、もしかして・・・・いや、まさか!でも、確かにワシの愛機ブラウサ号ぢゃ!」
 
長い年月の間にピンク色に塗装してあった機体は、全て下地がむき出しになっていま
したが、その銀色の機体は確かにぽぽりんの愛機、ブラウサ号に違いありません。
 
「なるほど!ブラウサ号なら四次元空間にも、他の世界にも行けるぢゃろう・・・・・・・・
おお!ここは未来のイヤポポリスぢゃたの。あの日、潤子ちゃんと一緒に乗ってきた
ブラウサ号はそのままここにあって、アミダポリスが時空間技術を発達させるエネル
ギー源になったんぢゃ!!」
 
「ぽぽりんさん、機内に宇宙から回収された時の衣装が用意してあります。準備が出
来たらすぐに時空間転送しますので、シートに着席して待機してください。」
ぽぽりんに指示しながら、ウサギ型の男たちはいそがしそうに基壇の周囲にある装置
を操作し始めます。
 
 
「時間軸設定OK!空間軸設定OK!出力レベル95%!」
 
「秒読み開始!60秒前・・・・・・50秒前・・・・・
 
ぽぽりんを300年前の木星軌道に送り届けるための秒読みが続く中、ぽぽりんが
ふと基壇の昇降口に目をやると、キャロル・キャットさんが手を振って見送ってくれて
いました。
 
「キャロル・キャットさん、すいぶん世話になったの。本当にありがとう。
 
「いいんですよ。あなたはアミダポリスの前身、イヤポポリスの人でしょう?だったら
わたしのご先祖様ということもあり得ますし。」
 
「そうかもしれんの。ワシ、第一回廊で初めて逢った時、なんとなくそんな気がしたん
ぢゃ!」
 
30秒前・・・・・
秒読みは、出発の時間が迫った事を知らせます。
 
「元気での!またいつか逢う時があるぢゃろうか?」
 
ぽぽりんがたずねると、キャロル・キャットさんは楽しそうな笑顔で答えました。
「わたしたちアミダポリスの住人は、時空を超えた存在ですよ、ぽぽりんさん。名前も
顔も、もしかしたら少しずつちがうかもしれないけど、わたしはいつもぽぽりんさんの
近くにいるでしょう。では、お元気で!
 
3・・・・2・・・・1・・・・ゼロ!!
 
秒読みがゼロになると同時にぽぽりんは、キャロル・キャットさんの顔も、アミダポリス
での記憶も、みんなまっ白になっていくように感じました。
 
 
 
 
P274に時空間転位
 
 
 
 
アミダポリス編・完
 
 
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