「わたしたちは、アミダポリス科学技術局調査部の者です。」
 
「科学技術局調査部・・・・?」
 
訝しげな表情のぽぽりんに、うさぎ型の男たちは続けます。
「そうです。私たちは15年前、太陽を一周300年の長楕円軌道で回る氷付けの物体
発見し、回収用の宇宙船を建造して一昨年、地球に最接近した位置でようやく回収
成功、それから時間をかけて、ゆっくりゆっくりと大気温度まで解凍を続けてきました。」
 
氷付けの物体・・・それは、まさか・・・!!」
ぽぽりんは、恐ろしい考えに膝ががくがくと震えはじめました。
 
「そう、ぽぽりんさん。それがあなた、宇宙へ投げ出されて生還を果たした、当時の地球
艦隊の生き残りなのです。」
 


 
ぽぽりんは、意識を取り戻したあのまっ白な部屋や、脱出後にうさぎ型の彼らが一生
懸命追跡してきたことを思い出しました。
 
「そうぢゃったんか・・・・あの白い部屋で、ワシを解凍してくれたんぢゃの。逃げ出して
悪かったの・・・・。」
 
うずくまって小声で謝るぽぽりんの肩に手を置いて、うさぎ型の男は少し微笑みました。
「いえ、むしろ私たちは300年前の地球人の生命力に感動しました。宇宙から回収直
後は、生死すらわかりませんでしたので。」
 
「・・・ワシにとって、ここは本当に実時間が300年進んだ時代ぢゃったんぢゃの。ぢゃ
が、月の表面で見た宇宙巡洋艦は?るな司令は時空間転移と言っちょったけど?」
 
「あのピヨピヨ軍の宇宙巡洋艦は、宇宙を漂流中にぽぽりんさんが衝突して沈没した
もののようです。そのときの、乗員全員の強い精神エネルギーによって時空間転位
が発生し、アミダポリスの時代へ一気に転移したものと思われます。つまり、ぽぽりん
さんは衝突時に氷付けで意識がなかったため、精神エネルギーに巻き込まる事もなく
そのまま漂流し続けたのです。」
 
「では・・・では!時空間転位というものは本当に存在するんぢゃの!?ワシは銀色の
物体の力で、300年前の宇宙の戦場に、もどる事ができるんぢゃの!!?」
 
うさぎ型の男たちは、大きくゆっくりとうなづいて言いました。
「もちろんですよ。私たちは、そのためにあなたをここまで追いかけてきたのですから。」
 
 
 
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