クリス大佐からの応答を受信しました!!・・・はっつぁんことHa-883号中破
クリス大佐のほうは太陽電池電源により出力16パーセント可能とのことです。」
  
クリス大佐との通信に成功して、重巡マラッカ艦橋に立つグリス艦長は興奮気味
に傍らのフォリス第五戦隊司令に伝えます。
  
「了解。ふたりとも、今のところはなんとか無事のようね。」
表情を緩めることもなく、フォリス司令は小惑星ギドラの方向を見つめています。
 
 
宇宙重巡洋艦マラッカは、小惑星ギドラが有効射程距離に入った時点からずっと
主砲の照準を小惑星ギドラにピタリと合わせて前進を続けていました。
 
艦橋頂部の25メートル測距儀と連動する、艦橋内の主砲射撃指揮装置のスコー
プをのぞいて、グリス艦長は照準を確かめながら小惑星の表面を観察してみました。
  
「現在、距離およそ7000キロ。光学ズームと私の内蔵デジタルズームを使えば、
小惑星表面の様子はまるで手が届きそうです・・・」
 
右手をのばしかけたグリス大佐は、主砲射撃指揮装置の右側の撃発スイッチ
気づいて、すぐに手をスコープに添え直しました。
 
 
「小惑星上のギドラ探査隊に、まだ動きはないようね。」
 
フォリス司令も、双眼鏡と内蔵デジタルズームを使って、小惑星の表面を注視
しています。
  
「指示した時刻まであと9分・・・。間に合うでしょうか?」
  
心配顔のグリス艦長に、フォリス司令は双眼鏡を下ろして言いました。
  
「ぎりぎりまで待ちましょう。念のため、後続する重巡ボスポラス搭載のも含め
て、全ての救命艇をスタンバイしておくのよ!」
 
 
 
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