地球艦隊随一の機動力と探査能力を誇る第五戦隊は、クリス大佐とはっつぁん
捜索のための出動命令を受けると、直ちに球形陣の所定の位置から発進し、S
OSの発信地点に向かって進み始めました。
  
宇宙重巡洋艦5隻から成る第五戦隊は、旗艦の重巡マラッカを先頭に、重巡ボ
スポラス重巡ジブラルタル重巡マミヤ重巡ドーバーの順に単縦陣を構成し
て、すぐに最大戦速に増速します。
  
 
    
 
「はっつぁんとクリス大佐の現在地は?」
  
重巡マラッカの戦闘艦橋で前方を見つめながら、第五艦隊司令のフォリス大佐
は、重巡マラッカ艦長グリス大佐になめらかな口調でたずねます。
  
「ふたりは、前方およそ7万8千キロの地点で流星群の中を通過中だわ。」
 
ピンクの髪のフォリス大佐と藤色の髪のグリス大佐は、3年前に竣工した最新
のクリス型アンドロイドで、音声合成装置や通信装置等が初期のクリス型よ
りも技術的に格段に向上しているのです。
 
 
「このまま流星群の中に突入すると艦を損傷する危険があるけど、流星群を迂
回していると、はっつぁんたちを見失うかもしれないわ。」
  
グリス艦長のことばに小さくうなずくと、フォリス司令は言いました。
「はっつぁんやクリス大佐が隕石と衝突する危険だってあるから、急ぐ必要があ
わね。
 
重巡ジブラルタル、マミヤ、ドーバーの3艦は流星群を迂回することにして、旗
艦のマラッカと重巡ボスポラスはまっすぐ流星群の中を進みましょう。グリス艦
長、成否はあなたの操艦の腕前にかかってるわ。」
 
「行きましょう!フォリス司令。この艦の機動力砲撃システムがあれば、流星
群も突破できるでしょう。」
 
5隻の艦隊はそれぞれのコースをとって、はっつぁんとクリス大佐の捜索を開始
しました。
   
 
 
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