蓬莱市!!まさか本当に存在するとは・・」
 
地球艦隊旗艦宇宙戦艦チョモランマの艦橋では、後北条元帥たちが
クリス大佐の内蔵カメラからの映像を映し出す巨大な全周スクリーン
を見つめています。
 
「うを!?凛々しい姫様ぢゃけど、蓬莱市ってなんじゃろうか」
 
後北条元帥は、大きな目をくるくるさせて首をかしげるぽぽりんをふり
返りました。
 
「私も、ずっと昔聞いた伝説なのですが・・25世紀ごろ、星宇宙海軍
大将という人物が、平和と自由を求めて戦艦蓬莱とともに艦隊を離脱
するという出来事があったのです。軍のほうでは、音信が途絶えて10
年目に、規定により沈没として処理したようですが・・・
 
その後も、戦艦蓬莱の乗員たちは、この太陽系のどこかに平和な街
築き、いまも穏やかにくらしているという噂は根強く広まっていました。
 
私もこの映像を見るまで、ただの伝説だと思っていたのです。」
 
 
「では、この星姫と名乗る人物は、地球人の味方でありますかペン?」
クリス大佐とピヨリーナ6号・8号の連携のために、戦艦チョモランマに
テレポートでやってきたペンダー中将は、驚いてたずねました。
 
「確かに地球人の子孫のようですが、どうも味方ではなさそうですな。」
スクリーンに映る星姫さまの、射るような目を見ながら、後北条元帥が
答えます。
 
潤子ちゃんは、先ほどのクリス大佐と星姫さまの遭遇戦の映像に、腰が
ぬけそうでした。
「戦艦の主砲弾も粉々にしちゃうし、光子エネルギーサーベルも受け止
めちゃうし・・・あのカタナの、どこにそんにエネルギーがあるのかなあ」
 
潤子ちゃんのことばに、後北条元帥はハッとしました。
「これは・・・重力兵器の一種ですな。切っ先の質量を大きく、手元では
自由に操作できるほど軽く、自在に制御されているのでしょう。太刀ほど
のコンパクトなサイズに・・・驚くべき技術です!」
 
「もし、わがピヨピヨ艦隊にその技術があれば・・・重力発電を始め、エネ
ルギー自給が可能になりますペン。もう、地球人と戦わずにすむかも
しれないペン!」
ペンダー中将は、パタパタと翼のような両手をまわして言います。
 
「わかりました。トリス大佐、今の話はクリス大佐に伝わっただろうか?」
 
「クリス大佐ノ受信ヲカクニン。接触ヲココロミルソウデス。」
クリス大佐の同型機、クリス型アンドロイド2号機のトリス大佐の答えに
後北条元帥は短くうなずいて、再びスクリーンを見つめます。
 
 
 
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