「あれ?変だなあ・・・おかしいぴょん!」
月面基地のユウ・オートモ中佐は、怪訝そうに小首をかしげています。
「ユウちゃん、作戦中は『ぴょん』ことばはやめてにゃ〜。志気が
ガクッと下がってしまうのにゃ。」
「ミャア少佐だって、にゃーにゃー言ってるじゃない。」
「ワタシの場合は、生まれつきの体質なんだにゃ〜♪」
月の「静かの海」に設営された地球軍月面基地は、イヤポポリスから
派遣されたユウ中佐と人造人間ミャア少佐以下、アンドロイド兵3000
が配備され、地球艦隊への兵站基地の役割を担っていました。
月面基地独自の制服を着用したユウ中佐とミャア少佐は、木星軌道で
艦隊が戦闘を開始したのに合わせて、指揮所に待機しているのです。
「海戦はほぼ互角だにゃ・・・どちらも相当な被害を出しながら、まだ
全力射撃を続けているのにゃ。」
戦艦アンナプルナからの最新情報を大きな三角の耳をヒクヒクさせながら
読み上げるミャア少佐は、イヤポポリス中央病院で働くみぃなさんの一番
下の妹で、同じ諸尾博士のつくった人造人間です。
「電送機は、退艦者をいつでも受け入れられるように準備してあるよね、、
クリス型ロボットは宇宙空間を直接飛んでくる事も可能だから、シャトルも
上げておかないと・・・」
「シャトルは1番から8番まで、月の周回軌道に上げてあるにゃ。3番と
9番は修理中だから、今はこれが全力だにゃ。」
「ところでユウちゃん、何か気になる事でもあるのかにゃ?」
「ウン・・・」
ユウ中佐は、モニターのひとつを示しながら、再び怪訝そうな表情に
もどります。
「こちらに接近中だった、トリス参謀大佐の信号が急に途切れて
しまったんだぴょん・・・。内蔵電池が切れるには少し早すぎるけど、
ひどく損傷を受けているのかも〜・・・」
ミャア少佐は猫のような瞳をぐるぐる回して、推理している様子です。
「二手に分かれた後すがたを消した敵の上陸艦隊が、既に近くまで
来ているのかもしれないにゃ!おそらく、光学でも電波でも捕捉され
ない特殊な偽装を行っているのにゃ。」
「まさか!?・・・トリス大佐はその艦隊に遭遇したと・・・??」
ビックリしたユウ中佐は、ドームの硬化ガラス越しに星々の散らばる
空間に目を凝らしましたが・・・いつものように、青い地球が静かに
浮かんでいるだけです。
「わからない、、考えすぎかもしれないけど。万一に備えて、地球の
イヤポポリスと3基のバベル電磁要塞に警報を出しておくぴょん!」
「了解にゃり〜!・・ユウちゃん、『ぴょん』はやめてってばにゃ〜。」
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