「どうぞ、お乗りくださいピヨ。」
 
艦内の大きな空間にさしかかると、ピヨピヨ軍の士官は
小型作業艇に2人を乗せて艦尾の士官室をめざします。
 
大きな空間のユカにはカプセルのような設備がぎっしりと
並び、空気はひんやりとして物音ひとつしません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「この設備は・・・」
 
「わが軍の小型戦艦は、ピヨピヨ星を脱出した人々の
移民船も兼ねているのですピヨ・・・何百年もの航海に
耐えるため冷凍冬眠して、軍人の私たちだけは交代で
解凍されて任務に就くのですピヨ。」
 
(いまなら、ピヨピヨ星人に大打撃を与えられる・・・)
 
カプセルの中の無抵抗な異星人たちを見て、ふとそう
思ったトリス大佐ですが、両腕でかかえたぽぽりんを
思い出して首を振ります。
 
(カプセルの人たちは戦争が起きている事すらきっと
知らないし、ぽぽりん同様抵抗ひとつできない・・・。
 
たとえ解凍されたら兵士になるのだとしても、今ここを
攻撃したら私は一生消えない傷を記憶回路に刻んで
しまうわ)
 
作業艇は静かに艦尾側の壁に近づいていきます。
 
 
 
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