宇宙戦艦アンナプルナはチョモランマ級宇宙戦艦の2番艦で、
1番艦とほぼ同時に竣功した最新鋭艦です。
 
チョモランマとの最も大きな相違点は、艦載機の運用能力を高
めるため上部構造物を右舷寄りに配置して、左舷側に大きな
飛行甲板と射出装置を装備している事でした。
 
 
「ゴ無事デシタカ、後北條元帥・・・!」
 
元帥、クリス大佐、潤子ちゃんが電送機でアンナプルナの艦橋に
現れると、艦長のパリス大佐が淡い金髪を揺らして駆け寄ります。
 
「トリス大佐が、衝撃で・・・宇宙に飛ばされてしまった。パリス大佐、
君が後任となって地球艦隊司令部を再構成するのだ!」
 
パリス大佐の人造皮膚の顔が、緊張でこわばりました。
 
「了解デアリマス!デスガ元帥、ワタシハ情報参謀ノ経験ガ・・・」
 
「パリス大佐、月面基地ヘ待避中ノとりす大佐カラ、でーたヲ伝送シテ
来テイルワ。ハヤク受信スルノヨ」
 
クリス大佐に促されて、パリス大佐は宇宙空間からの電波を受信
し始めます。
 
「・・ちょもらんま沈没寸前マデノ双方ノ艦隊座標、各艦ノ損傷状況、
戦果でーた受信。味方ノ各艦ガ回線ヲ切リ替エテイマス・・・全艦ガ
あんなぷるなカラノ受信待チ状態ニナリマシタ・・・!」
 
「元帥、旗艦機能ヲ回復シマシタ。将旗ヲ掲揚シマス」
 
ふたりの報告にうなずいた後北条元帥は、直ちに作戦継続を指示
しました。
 
「面舵40度!反転して敵陣に再突入するぞ」
 
 
潤子ちゃんは電送機の出口を見つめています。
 
「ぽぽりんたち、大丈夫かなあ・・・」
 
その呟きに、後北条元帥が振り向きました。
 
「救助用小型艇を出すと、戦闘中の艦隊に戻れなくなるのです・・・今は
こちらからは、どうすることもできません。トリス大佐の無線は、月面基
地でも傍受しておりますぞ!だいじょうぶ、心配は要りません。」
 
 
 
もどる       Topへ       すすむ