戦艦ピヨダの戦闘指揮所に移転したピヨピヨ軍第一作戦司令部は、直ちに「2号作戦
の打合せを開始しました。ユカいっぱいに映し出された作戦地図の上で、司令長官
ネリエガスキー元帥が大きな目玉で司令部一同を見回してきりだします。
 
「まず、我々の戦略目的を明確に意思統一するピヨ!皇帝陛下の名において、
 
1.惑星地球の上に領土を確保し、ピヨピヨ星人の生き残り17億のうち、少なくとも
半数以上の移住を成功させるピヨ。
 
2.地球現住生物の支配・隷属は必ずしも目的としないが、我々の移住を妨害する
場合は実力でもって排除するピヨ。
 
これを達成するためのシナリオは、ペンダー参謀総長が作成しているはずだピヨ。」
 
 
 
「了解でありますペン。基本的には、邀撃する地球艦隊を宇宙空間での艦隊決戦
撃破し、地球上の最も防備が手薄で温暖な地域、アマゾン河流域に橋頭堡を確保、
占領地域を相当期間維持する間に外交交渉によって領有を勝ち取るでありますペン。
 
このシナリオでポイントとなるのは、(1)艦隊決戦で勝利し、移民船団をほとんど喪失
なく地球に着陸させること(2)可及的速やかに交渉ルートを見つけ、着陸後の持久
戦が長期化する前に有利な条件で講和すること、の2点でありますペン。そのいずれ
に失敗しても、わが軍にとって致命的でありますペン。」
 
ペンダー参謀総長の基本戦略構想に、ネリエガスキー司令長官は大きくうなずきます。
 
「では、その二つのポイントはいかにクリアするピヨ?」
 
小柄なインコマン参謀が立ち上がり、具体的な作戦計画について話しはじめました。
 
 
 
「コマンド部隊の情報によると、わが軍は数の上で敵を圧倒していますピヨ。しかし
500万隻ある小型戦艦のほぼ全てが民間の移民を満載しており、艦隊決戦に
参加できるのはわずか300隻あまり、敵の全軍の1.5倍程度にすぎませんピヨ。
 
そこで最も戦力的に大きい艦を抽出して、陽動・打撃部隊を編制しまっすぐ地球に
向かって進撃するのですピヨ。敵艦隊がこれを全力で邀撃する間に強襲着陸部隊
は、惑星公転面を若干外れなおかつ太陽を迂回して地球に向かうのですピヨ。
 
艦隊編成は以下の予定ですピヨ。
 
 
強襲着陸部隊
 

第三艦隊
巡洋戦艦ピヨラー型   50隻
速力が大きく、備砲は戦艦と同じである。 
但し防御装甲が薄く防衛戦闘に向かない 

 

着陸部隊
小型戦艦ピヨピヨ型  5000000隻
小口径のレーザー砲1門を塔載した戦艦。 
全艦が民間人の移民を満載している。 
 

陽動・打撃部隊
 

第一艦隊
戦艦ピヨダ型   80隻
大破したピヨピヨンの同型艦。宇宙空 
間で建造された最新の超大型戦艦。 
 
 

第二艦隊
巡洋艦ピヨヨン型   120隻
機動力に優れた中型艦。 
 
 

機動部隊
空母ピヨス型   50隻
近接攻撃用の小型宇宙船を1艦あたり 
約70機塔載している。艦載機には制空 
戦闘機、対艦攻撃機、惑星爆撃機の3 
種類があり、機体の色が異なっている。
 
 
「敵は母星を攻撃される危険がある以上、より戦力の大きい陽動部隊に指向
せざるをえませんピヨ。また、敵が着陸部隊に戦力を割いたとしても、着陸部
隊は惑星公転面を外れて重力の相互作用が複雑な空間を進撃していますピヨ。
 
お互いに光線兵器の弾道計算に微妙に時間を要して命中率が下がりますが
敵・味方とも一発も当たらなかったとしたら、ここでは強行突破をはかるわが軍
の勝ちになりますピヨ。
 
このようにして移民船団の被害の可能性を減らせば、着陸時の対空砲撃による
被害を考えても90%以上の艦は着陸可能とみていますピヨ。」
 
「外交交渉ルートの方は、どうするのであるかペン?」
 
「はい・・・まだ可能性を検討している段階ですが、コマンド部隊と接触のあった
地球人に私が直接会ってみようかと考えていますピヨ。」
 
「よろしい!」
 
ネリエガスキー司令長官は、ペンダー参謀総長とインコマン参謀を見つめながら
力強く言いました。
 
「本日23ピヨピヨ時をもって発動できるよう直ちに準備を開始するピヨ!全軍をあげた
この作戦に『次の機会』は有り得ないことを肝に銘じて行動してくれたまえピヨ。」
 
 
 
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