すぐに白い車は電話ボックスのそばを通り過ぎ、猫鳴トンネルへ吸い込まれるように入って行きました。
 
「おお・・・ 空気がヒンヤリとして、井戸の底みたいぢゃのう、潤子ちゃん。」
 
「・・・・・」
 
潤子ちゃんもいや〜んも返事をしません。
 
「おお!?おまいはイッタイ・・・」
 
いつのまにか、潤子ちゃんのいたはずの場所には白い服の女性が座っています。
ほかの座席も、得体の知れない者たちに占領されてしまっているようです。
 
 
「ワタシは・・・  ワタシ、ここで白い車に轢かれて死んだの。超痛かった・・・」
 
ぽぽりんはゾッとしたけれど、勇気をふりしぼって女性に話しかけます。
「キノドクに、それで目から血が出ちょるの? ぢゃがワシらに何の用ぢゃ。」
 
「この場所を、同じような白い車で通るなんて・・・ワタシへのイヤガラセとしか
思えないワ。抗議しようと思って・・・」
 
「う〜む、それは悪かったのう。次から黒かメタリックにするけえ、ゆるしてくれい」
 
 
 
「ぽぽりんクン、手に持っているモノはなんだい?」
こんどは、白服の女性とは反対側に座っている大きなフクロウが言いました。
 
「キ、キミは、同級生の面フク郎クン! おお、コ・・・コレは、ケシゴムぢゃ・・・
ワシ、なんでケシゴムなんか持っちょるんぢゃろう」
 
「ナゼ持ってるか説明できないって事は、万引きしたんだろう?」
 
ぽぽりんは万引きと疑われて、かなりウロタエました。
「ちがうんぢゃ!説明できんけど、いつのまにか持っちょったんぢゃ〜!!」
 
「ぽぽりんクン・・・ ぼくが万引きしたのをチクったのはキミじゃないのかい」
 
「おお・・・!」
ぽぽりんは心をエグラレルようなショックを感じて、とうとう叫びだします。
 「スマン、面フク郎!ワシぢゃ。ワシ、キミをかばいたかった!でも、問い詰め
られてドウシヨウもなかったんぢゃ〜!ゆるしてくれい〜!」
 
「いいや、ユルセナイ」
白服の女性と面フク郎クンは、キビシイ口調で同時に言います。
 
「スイカ割りをあきらめて帰ると言うまで、我々はぽぽりんをゆるさない」
 
「・・・むう? やっぱりコイツラ、いや〜んやワシの記憶から抽出された幻術なんぢゃ!
イヤぢゃ〜!ワシはあきらめんのんぢゃ。マボロシよ、消えろ、消えてくれい!」
 
ぽぽりんは目を閉じて、ヒッシで叫び続けました。
 
 
 
 
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