「お待ちなさい!」
不意にだれかに呼び止められて、いや〜んは棒を振り下ろす手を止めました。
 
 
3人が声の方を振向くと、上品な物腰の匂やかなお公家さんが佇んでいます。
 
「わらべたち、カメをいじめちゃいけないよ。そのカメ、麿にゆずってはくれまいか」
 
「お公家サマ、ワシら地球防衛のためにコイツを叩かんといけんのんです!
それに、コレはカメぢゃなくてスイカ・・・・おおおお!?
 
おどろいた事に、いつのまにかスイカに手足が生えて、まるでカメのように這い
まわっているではありませんか!
 
「あ・・・アナタはもしや、潤子が幼稚園のころ壊してしまった五人バヤシの左端
ヒナ人形では?なんだか見覚えがあるわ!」
 
お公家さんは潤子ちゃんにやさしく微笑みかけると、言いました。
 
「懐かしいね、潤子ちゃん。大きくなったね。サア、わるいことは言わないから
そのカメを麿にわたしなさい。」
 
「イカン!潤子ちゃん、これわスイカ割りを失敗させようとする、ピヨピヨ星人の
トラウマ攻撃ぢゃ!」
 
ぱお〜!もうメカクシはずしていい?
スイカのカメは、思いがけないスピードで逃げ出し始めています。
 
「まだぢゃ!右ぢゃ、いや〜ん。スイカを全力で追いかけるんぢゃ!!」
 
3人はお公家さんをあとに、スイカを追って駆け出しました。
 
「五人バヤシのお人形さん、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・
潤子ちゃんは泣きながら走っていきます。
 
 
もどる       Topへ       すすむ