ヴウウウウウウーーー・・・・・・・・・ン・・・
モーターの低い唸りだけが響く小型宇宙艇の艇内では、星姫様、クリス大佐が
食料・電力不足で横になっています。
「もうどのぐらい亜空間回廊にいるのかな、、宇宙兵糧丸も、ずいぶん前に
ぜんぶたべちゃったよ」
か細い声で星姫様が話しかけると、途切れ途切れにクリス大佐が答えます。
「前に通常空間に出てから、地球時間で・・・15日と7時間かな、、」
「データ保護のために、完全には電力を失えないでしょう。もう、スリープモード
に入った方がいいんじゃない」
星姫様のすすめにわずかに頷くと、胸とおなかの警告灯が暗くなっていき・・・
クリス大佐は完全に身動きしなくなりました。
「おなかすいたポッポ〜、、このままじゃ、みんな死んじゃうポッポ〜〜・・・」
ポッポ・コバト少佐は、べそをかきながら体育座りでふるえています。
3人が空腹でぐったりする様子を見て、ピーちゃんは自分の羽根のように見える
一本を抜き取ると、両手でこねこねと捏ねて、果物のような形を作りました。
「ぴ〜、、」
果物のような羽根を差し出され、星姫様は重いまぶたを苦労してわずかに
開きます。
「ありがとう、ピーちゃん、優しい子だね、、、でも、それは食べられないよ。
ピーちゃんの体のためにも、元にもどしておきなさい」
星姫様が優しく言うと、ピーちゃんはしょんぼりしながら果物のような形をもぐ
もぐ口へ運び、ごっくんと飲み込むと同時に、ぴこんと羽根が生えてきました。
まだ意識がある星姫様とポッポ・コバト少佐は、驚くような所作を見せてくれた
ピーちゃんの優しい気持に、 少しだけ心が満たされた気がしました。
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