「次のテーマは、早春でござる!!」
「早春・・・?」
伊19号の伝える、光学着艦制動装置の次のフレームのテーマに、
一年中春爛漫で桜舞う季節が続く宇宙都市蓬莱出身の星姫様は
首をかしげます。地球の歴史を学び言葉として知ってはいても、具
体的なイメージが思い浮かばない様子です。
「星姫様、早春ってまだすごく寒いんだよ。ほら、上着があったら
ちゃんと羽織って・・」
アンドロイドではあっても地球生まれのクリス大佐は、早春の季節
感を伝えようと、傍らを漂うマントを星姫様に羽織らせながら説明
を続けます。宇宙忍のポーズでお互い相通じるところを感じたのか
口調もいくぶん親しげです。
「イメージして、ほら・・・私たちは今、雪深い山道を雪山や杉林を
背に、白い息をはきながら歩いてるんだ。ふと、梅の小枝を見ると
小さな梅の花が鈴なりに咲いててね・・・」
ふふっ、ふふふっ、と思わず表情が綻んだ瞬間、フレームを通過
しました。
ズビュビュゥm・・・・
「おおおッ、光学着艦制動装置は、お二人の寒そうなポーズとほっ
こりした表情が、早春らしいと判定したでござる!
制動率は2%と低めでござるな・・・この装置は、手足や身体全体
で表現した方が適合率が高いでござるよ。」
ともあれ、イメージを共有し少し仲良くなった星姫様とクリス大佐は
揃って次のフレームへ進んでいきます。
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