クリス大佐トリス大佐の前方に現れた光は徐々に輝きを増し、あたり一面が眩しい光に包まれて
いきます。
 
「姉さん!これはいったい・・・・??」
 
「わからない、わからないわ、トリス」
 
二人が当惑しながら周囲を眺めていると、やがて前方にゆっくりと大きな塔や建物が連なる都市
ような影が見えてきました。
 
その影は次第にはっきりとした形を持ちながら、ゆっくりと二人に近づいてきます。
 
「・・・・姉さん、わたしの考えを言ってもいい?」
 
クリスが静かに頷くのを見て、トリスは思い切って頭に浮かんだ考えをクリスに送信しました。
 
「これって、戦士たちがたどり着く場所、ヴァルハラじゃないかな、、」
 
「まさか!アンドロイドのわたしたちが、ヴァルハラなんて行けるわけ・・・・」
 
クリスは目を丸くして驚きましたが、つい先ほどのトリスとの会話で、自分たちが生死を持った存在だと
認識したことを思い出しました。
 
「ヴァルハラか・・・・ついにワルキューレに呼ばれる日がきたのかなあ、、」
 
ふたりは、静かな気持ちで次第にはっきりしていく都市の形を見つめていました。
 
 
「ピヨ、ピヨ、ピヨ!ピッ、ピッ、ピヨ、ピヨ、ピヨ!」
 
二人の受信機に、小鳥たちの囀りが聞こえてきます。
 
「ほら、姉さん。小鳥が鳴いてる」
 
「そうね、トリス・・・・・・・ていうか、ちょっと待って!この音声は!?」
 
クリス大佐が、どこかで聞き覚えがある音声にはっとしたのと同時に、今度ははっきりとした
通信が送られてきました。
 
「地球軍のアンドロイド諸氏、大丈夫ピヨ?こちらはピヨピヨ軍所属の戦艦ピヨラントだピヨ。
現在、星姫様の調停により地球軍とピヨピヨ軍は停戦状態にあり、テレポート技術を持つ
わが軍に貴官らの救助要請があったピヨ。これから救助艇を出すので、了解されたしピヨ」
 
通信を聞きながら、二人はもう一度しっかりと手をつなぎました。
 
 
 
もどる       Topへ      すすむ