クリス少尉!聞こえるか。こちら作戦本部の後北条だ。」
前線を突破して敵の勢力圏深く侵攻中のクリス少尉の内蔵無線機に、暗号化された通信
飛び込んで来ました。
 
「こちらクリス。今のところ損害ゼロで進行中よ。」
 
「了解だ。現在、君たちが突破した前線の穴から、地上部隊が進撃を開始している。しばらくは
押し合いが続くだろうが、金星都市国家連合軍もすぐに第2線陣地やその後方の陣地で戦線を
建て直し、再び膠着状態に戻るだろう。
 
戦況の打開はこの作戦の成否にかかっている。敵の司令部が置かれている都市の一つまで、
あと80キロだ。できるだけ急いでくれ
 
「わかってるわ。もちろんモーター全開で・・・」
 
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
 
 
突然、ゴーグルディスプレイ警告灯が点灯し、アラームが鳴り始めました。
 
「クリス!1時方向に機影多数!
トリスからの無線が、状況を簡潔に知らせて来ます。
 
「敵の邀撃機ね。全機、近接戦闘用意。突破するわよ!」
クリス少尉の号令で、小隊は高度を上げながら突撃編隊を組みます。
 
「検討を祈る。」
 
暗号通信の向うでは、後北条指令が祈るような気持ちでモニターを見つめていました。
 
 
 
 
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