「ふう・・・・ なんとか助かりました。」
タクラマカン湖の水が入ると、交通安全の人形の瞳は生き物のように輝き始
め、ぽぽりんに向かってぺこりとおじぎをしました。
「たぬきさん、救ってくれてありがとう。もう少しで蒸発しちゃうところでした。」
「いやいや、それはええけど。ワシはタヌキじゃなくてふくろうじゃ。」
ぽぽりんも、少し照れくさそうにおじぎします。
「キミは、なぜさまよっていたんかの?湖は普通は動かないものじゃ。」
ぽぽりんに問われて、人形は砂漠のはるか彼方を指差して答えます。
「ボクは・・・ ボクはね、海が見たかったんだよ。」
「海?」
意外な答えに、ぽぽりんが問い返します。
「ボクは、なぜかわからないけど、意識を持ち始めて・・・・気がついたら
湖で、親も子も兄弟もいなくて、何千年もひとりでじっとしていたんだ。
あるとき、通りがかりの人が海の話をしてるのを聞いて、そんなに大きい
水の集まりは、ボクのお母さんに違いないと思ったんだよ。で、いても
たってもいられなくて・・・・」
「そうか。ワシも、気づいたらこの世界におったんぢゃ。キミの気持ちは
よくわかる気がするの。」
ふたりの話を聞いていたプラムが、話しかけます。
「湖さんも、いっしょに行こうプラ!元の場所には、いつか水源から新しい
水が流れてくるプラ。」
「わあ、海が見られるかなあ♪」
人形の顔が、ぱっと明るく輝きます。
「このアミダポリスは、全体が洋上に浮かんぢょるよ。きっと見られるぢゃ
ろう!そうそう、キミをなんと呼んだらええかの?」
「それじゃあ、タクラマカン湖にちなんで、今日からボクはマカぴょんと名乗
りましょう。」
こうして、マカぴょんが仲間に加わりました。
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