サンプルを持ち帰った諸尾博士が、徹夜で組成や構造を分析した結果
48時間後には、宇宙植物特有の塩基配列を特定する事に成功しました。
 
「よし、これで機械的に宇宙植物の体組織を識別できるぞ!電送器のシス
テムに、宇宙植物だけ読み飛ばすように手を加えれば、自動分離機として
使えるはずだ。」
 
 
イヤポポリス外縁部分の空き地に設置された大型電送器が、宇宙植物と地球
の生物とを、ものすごいスピードで分離していきます。
 
「おお!大成功ぢゃ。人も動物も、どんどん別れていく!」
 
「みんな、別の電送器で、それぞれ元の場所に帰るんだね。」
 
3日3晩、不眠不休で作業を続けると、とうとうさいごにやどらんとランちゃん
出力装置から現れました。
 
装置からよろめき出たとたん、やどらんが大声で叫びます。
 
「ストップ!止めて止めて」
 
「おねがい!エンジェルが死んじゃう!」
 
 
諸尾博士が装置を停止すると、間一髪エンジェルは消滅を
免れましたが、体組織のホトンドを分解されて見る影もありません。
 
「この子には、何の罪もないんだ!それに、ボクはエンジェルの事を
ボクとランちゃんの子供だと思ってる。もっとも、ランちゃんとは夫婦
でもなんでもないんだけど・・・」
 
「元に戻れたからって、冷たい事を言わないで。さっきまで私たちは
エンジェルを介して、夫婦とか、友情とかよりもっと完全に一体化
していたのよ!この子は、普通の人間の子じゃないけど、間違いなく
私たちの子供だわ。おねがい、たすけてください!
 
ぽぽりんと潤子ちゃんは、事のなりゆきにただうろたえるばかりです。
 
「わかった。ワタシがエンジェルを、助けてやろう。」
装置を降りてきた諸尾博士が、力強く約束してくれました。
 
 
 
 
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