「次は潤子の行ってみたいとこでいい?潤子ねえ、女王ヒミコに会ってみたいなあ♪」 
 
「そんなムリゆうたらいけん!ヤマタイ国がどこにあったかわからんし、だいいちことばが通じんぢゃろう?」 
 
「ことばなら、すでに信長公とも通じていなかったぴょん。みんなは今、ココロだけの存在だから、ことばにこもった意味を感じ取れるんだぴょん!トモカク、3世紀中頃に行ってみるぴょん。」 
 
 
3世紀中頃の日本列島は、あおあおとした森に覆われて、とてもみずみずしく見えました。とりあえず九州地方のある集落に降り立った一行は、近くの人にヤマタイ国やヒミコについてきいてみようと考えました。
 
 
「あ、向こうから来る女の子、潤子と同じくらいの歳かな?あの子にきいてみようヨ」 
 
「もしもし、お嬢ちゃん。ワシら、とおくから旅してきたんぢゃがの。」 
 
「・・・?」 
 
古代の少女はちゃがま号に少し驚いたようで、いぶかしそうに言いました。 
 
「大きなタヌキ!超ビックリかも・・・」 
 
「『超』?いや、そういう意味の古代語なんぢゃろうの。お嬢ちゃん、これはちゃがま号といってハルカ異国の乗り物ぢゃ。ワシら、ヤマタイ国のヒミコ女王をたずねてきたんぢゃが、あんた知らんかね?」 
 
「わたし潤子。アナタの服、ステキね!巫女さんなの?」 
 
 潤子ちゃんが思い切ってニッコリ笑いかけると、少女は少しもじもじしながら答えます。 
 
「ウン・・・。わたし、りっぱな巫女になるように、仲間の月の巫女や星の巫女といっしょに修行してるの。ヤマタイって国はきいたことないなあ。」
 
 
「おお?デハここは何という国なんぢゃ?」 
 
「ここ?ここはヤマトの国だよ。ヒムカのタカチホ山のふもとから、遠く東のナミハヤの港の向こう、新しいヤマトのみやこまで、ず~っとゼンブがヤマトの国。」 
 
「ナント!そうか、古事記や日本書記にある、神武天皇の大東征は、ホントにあったのか?ヤマトは日向の国で発祥し、今の奈良県まで支配を広げたという伝説ぢゃ。もしヤマタイ国がヤマトと同じかその原形なら、九州も近畿もぜんぶヤマタイ国ということになるかもしれん!」 
 
やどらんは、「月の巫女」「星の巫女」といったことばに興味を持ったようです。 
「巫女さんて、占いをしたり神様のお告げを伝えたりする仕事でしょ?」 
 
「ウン。ほかに、コヨミを作って田植えの時期を知らせたり、雲や月を見てお天気を占ったり、たくさん勉強しないといけないの。」 
 
「そうぢゃ。近代科学がイニシエの錬金術や占星術をルーツとしておるように、巫女さんはこの時代のトップエリート、最高の知識人じゃ!お嬢ちゃんもがんばって、みんなに尊敬されるりっぱな巫女さんになってくれい。」 
 
「ありがとう、ミミヅクさん♪」 
 
「あなたは、何の巫女なの?」 
 
潤子ちゃんの問いに、少女はやはりもじもじしながら答えました。 
「私は『』の巫女。仲間はヒミコって呼んでる」 
 
「・・・!」 
「おお・・・! チョットむかしに戻りすぎたみたいぢゃ!」 
 
 
 
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